循環器内科領域では、おもに狭心症や心筋梗塞といった心臓の血管(冠動脈)が細くなる(詰まる)病気の治療が中心ですが、近年では全身の動脈硬化が進んでいる患者様が多く見受けられますため、手や足のような末梢血管への治療にも積極的に取り組んでおります。
当附属病院では最新のデジタル撮影器機を備えており、多方向からの鮮明な血管撮影が可能であるため、より詳細な病変形態の把握が可能です。つまり、その分だけ適切で安全な治療が行いやすいと言えます。
ですが、これらの検査・治療のためには必ずカテーテルという管を体の中に入れなければなりません。これがいわゆるカテーテル検査(治療)です。カテーテル検査そのものは、基本的に直径が1.3mm程度の管を血管(主に動脈)から挿入し、心臓まで届く長さの造影用の管(カテーテル)を用いて行いますが、一般的な検査内容(冠動脈造影)であれば所要時間はおよそ10分です。検査は、8割の方が手首の血管のみを局所麻酔するだけで受けていただくことができ(その他の方は肘や足の血管から検査を行います)、概ね左手首から行っております(日本人は右利きの方が多いため、当院ではできる限り検査後の入院・日常生活に支障が出ないよう左手から行うよう工夫をしております)。
当院でのカテーテル検査は通常2泊3日(検査前日の入院、検査翌朝の退院)とさせていただいております。これは病院の環境に少しでも早めに慣れていただくことと検査後の合併症を極力少なくしたいという考えに基づいております。もちろん患者さまのご事情などによって1泊2日での施行も可能であり、検査を受けていただく皆様へのご負担をなるべく軽減できるよう柔軟に対応させていただいております。
またカテーテル検査では、必ず造影剤という血管を映し出すための薬剤を必要としますが、使用した造影剤すべてが腎臓から尿と一緒に体外へ排出されます。そのため腎臓の機能が低下されている方の場合には少量の造影剤でも負担となってしまう恐れがあるため、前日から点滴投与を行っております(前日からの点滴投与と検査中の造影剤量を極力抑えることが、腎機能悪化などの合併症を減らす近道です)。
現在は午前中にカテーテル検査を、午後からはカテーテル治療(実際に狭くなった血管を風船などで拡げる治療)を行うよう調整しておりますため、大幅に開始時間がずれ込むというようなことはございません。ただし緊急の検査・治療を要されます患者様が優先となりますため、その際には必要に応じて職員より状況を説明させていただきます。何卒ご了承いただきますようお願い申し上げます。
さて、この北部地区には循環器の専門的診療が行える機関は非常に少なく、当附属病院が開設しました現在でも皆様のご要望にすべてお応えすることは困難な状況にございます。しかしながら北部地区にお住まいの方が、わざわざ他の地域にまで治療を受けに行っていただかなくてもいいような環境作りをする責務は私どもにあると考えており、「北部にお住まいの方の治療は、なるだけ北部で完結する」を目標に今後も努力を続けて参りますので、もしお困りのことがございましたらぜひ一度当院へお越し下さい。
循環器内科科長 蘆田 欣也